ありのまま、愛すること。

体の重い亀

26歳のころ、私は1億円の年収が取れるようになっていました。そのとき考えたことは、まず社員を幸せにしようということでした。

そして、その水があふれたら、今度は周りの取引先業者様や関連会社などから「この会社があってよかった、ありがとう」と言われるようになりたいと思っていました。

しかし、実際には、本当に助けられることが多かった。

4店目の『白札屋』というお店を持ったとき、経営判断を見誤り、大失敗をしたのです。

もう、明日のお金もないという状況でした。

銀行にも見放され、明日にも会社はつぶれそうでした。

そのときに、酒屋の社長さんから電話がかかってきて、「経理部長をちょっとよこしてくれないか」と言われました。

私は取引停止か現金取引にしてほしいということだと思い、理由を尋ねるのですが、教えてくれない。

この酒屋さんとの取引がなくなると、もうお酒はディスカウントストアで買うしかないかと、そういう状況でした。

この酒屋さんを訪ねた経理部長が、社長さんとの面会のあと、電話をかけてきました。経理部長は、電話口で泣いています。

「社長、現金2000万円をいただきました。今、私が預かっています」

会社に戻った経理部長は風呂敷包みを大事に抱えていました。それを開くと、本当に2000万円の現金です。

このときのこのお金がなければ、とてもじゃありませんが、ワタミは立ち上がれませんでした。

このときのご支援のお陰で、それから借金をどんどんどんどん、返していくことができたのです。

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