ありのまま、愛すること。

ワタミの森の50年

菜の花が咲き乱れ、桜が咲き誇る、ある春の日。

千葉県山武市の「ワタミの森」の植樹祭へ足を運びました。

この森は、再生させることを目的に、グループで管理している場所です。

千葉県緑化委員会の方々、NPO法人である千葉県里山センターの方々や、土地のオーナーさん他、「ワタミの森」を応援してくださっている方々と共に、シンボルツリーのヤマザクラを植樹しました。

森の大きさは9ヘクタール。1歩中に入ると、およそ10メートルの杉の木が鬱蒼と立ち並ぶ世界。ところどころに辛夷の白い花が咲き、杉と杉の間からは木漏れ日が差し、幸せな空間です。

こんなに素晴らしい森に、どう手を加えるのかと考えながら森を歩いていると、ワタミエコロジーのスタッフが話してくれました。

「この杉は、ほとんどが『溝腐れ病』という、キノコの胞子が樹木に付着して徐々に腐っていくという病気にかかっています。地球温暖化の影響だそうですが、本当のところはわかりません。この山武地区のサンブスギの85%がこの病気にかかり、サンブスギは壊滅的状態にあります。私たちの森づくりは、病気にかかった木を伐採するところから始まります。その伐採した跡地に、地域固有の生態系を取り戻すために、広葉樹を中心に植樹します。下草刈りや間伐を行いながら植樹木の成長を促し、新しい森へと生まれ変わらせるのです」

「この病気の杉は、成長に何年かかっているの?」

「50年だそうです」

「植樹した広葉樹が、大きくなって二酸化炭素をしっかりと吸収できるようになるまで、どのくらい?」

「最低でも10年から20年です」

その話を聞きながら、私は混乱していました。
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