だからこそ、キミは。

冷たい感触




―…望月 彰。

モチヅキ、アキラ。



私の名前をかったるそうに呼んだ、今目の前にいる先生の名前。



「……。」




呼びつけたくせに何も言わない先生の絡み合わない視線は、なんだか戸惑う。



沈黙は、なんとなく苦手だ。





『……先生。』




なんか言ってよ、と。

そんな想いを込めて、控えめに先生を下から覗き込む。




意味がわからない。

職員室に来いと言われ、連れられてきた場所は理科準備室だし。


話があると言われたから来たのに、先生は黙っちゃうんだもん。



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