だからこそ、キミは。



バン、と。


上の空だった私の頭を、誰かが乱暴に叩いたような音がして。



じんわりと来るその痛みに顔をしかめ上を見上げたら、やっぱり立っていたのは先生だった。




『…わかりません。』




何事もなかったように視線を逸らし、反抗的に口から発したのは、たった一言。



普段は感情を見せない私が、ここまで露わにするのは珍しいこと。




「……ふーん。」




私を上から見下ろす先生が、感情が掴めない目で見てきたのを、私は気が付かないフリをした。



こんな態度をとる理由は、簡単。




先生が、嫌いだからだ。




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