AZZURRO

母の面影

懐かしい
い草の香りに雪乃は目を覚ました



あれ?

この世界では
まず感じることができない
三味線と和太鼓の響きも感じる


なに?


視線をずらして
目を凝らすと


ふすまの向こうに
着物姿の女性が見えた


その瞬間
雪乃の口から言葉が漏れる



「お母さん。」





……




………





次に目をさましまら
見慣れた自室の風景だった


い草ではなく
ケシャが炊いたであろう
柑橘類の香油が鼻腔をくすぐった

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