モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語
そのまま再び目を綴じてしまう遥を見て、健二は血の気が下がった。
「筧さん!」
近くの木に持たれかかっていた海にも声をかけたが反応はない。
「遥!筧!」
「先生っ・・・。」
八木が冬樹と、部員、救急隊員とともに走ってきた。
「下がってください!」
そういわれ、健二は数歩後ろへと下がった。
二人をそれぞれ担架に乗せて、手際よく運んでいく。
随分と冷え切っていたのか、毛布を二人の上に乗せて
雨で濡れないように手が空いている隊員が傘をさす。
「全員道場に戻るぞ!」
八木の声に、捜索をしていた部員全員が返事をした。
*
「今日の練習は中止だ。全員風邪をひかないように
早めに風呂に入って自室待機するように。」
八木の指示に不満もある部員もいたようだが、
こんな事態になってしまったのなら仕方ない。
「先生!!遥君は、見つかったんですか!?」
理子が心配そうに駆け寄ってくる。
「ああ。二人とも無事だったよ。今病院に運ばれた。
今から先生も行ってくるから、理子、お前はマネージャーとして
ここを任せるからな。」
「は、はい。」
本当は病院について行きたかったが、
こう言われてしまえばついていくことはできない。
「先生!俺、ついて行っていいですか。」
「・・・ああ、分かった。」
健二が名乗りをあげ、一人くらいならいいだろうと了承した。
そのまま車に乗り込み、二人は本日二度目の病院に向かったのだった。