モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語

そのまま再び目を綴じてしまう遥を見て、健二は血の気が下がった。

「筧さん!」

近くの木に持たれかかっていた海にも声をかけたが反応はない。


「遥!筧!」

「先生っ・・・。」

八木が冬樹と、部員、救急隊員とともに走ってきた。

「下がってください!」

そういわれ、健二は数歩後ろへと下がった。

二人をそれぞれ担架に乗せて、手際よく運んでいく。

随分と冷え切っていたのか、毛布を二人の上に乗せて

雨で濡れないように手が空いている隊員が傘をさす。


「全員道場に戻るぞ!」

八木の声に、捜索をしていた部員全員が返事をした。

















「今日の練習は中止だ。全員風邪をひかないように

早めに風呂に入って自室待機するように。」

八木の指示に不満もある部員もいたようだが、

こんな事態になってしまったのなら仕方ない。


「先生!!遥君は、見つかったんですか!?」

理子が心配そうに駆け寄ってくる。

「ああ。二人とも無事だったよ。今病院に運ばれた。

今から先生も行ってくるから、理子、お前はマネージャーとして

ここを任せるからな。」

「は、はい。」

本当は病院について行きたかったが、

こう言われてしまえばついていくことはできない。

「先生!俺、ついて行っていいですか。」

「・・・ああ、分かった。」

健二が名乗りをあげ、一人くらいならいいだろうと了承した。

そのまま車に乗り込み、二人は本日二度目の病院に向かったのだった。
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