モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語
双子、逃げる


次の日、朝から冬樹と健二、そして理子は集まった。

「じゃ、近所の人に聞きこむか。」

「手分けして聞き込みましょう、あたしは向こうを探すわ。」

理子は右側を指さした。

それに冬樹と健二は頷く。

三手にわかれて聞き込みを開始する。



約一時間探し回り、疲れてきたころだった。

冬樹がたまたま通りかかった若い男性に話しかける。

「すいません。」

「なんだ?」

「俺の歳と同じくらいの双子、見ませんでしたか?」

「どんな子だ?」

「二人とも髪はショートで、茶色です。

男のほうは、身長は俺より少し低くいくらいで・・・。」

「・・・あ。」

「?」

「そういえばこないだ夜中にコンビニ行ったんだけど、

二人の男女が駅のほうに向かってたの見たぞ。」

「ほんとですか!?」

「ああ。暗くて良く見えなかったけど、二人とも髪はショートだし・・・

「ありがとうございます。」

冬樹は最後まで聞かずに走り出した。

ポケットから携帯を取り出し健二に電話をかける。


「健二、目撃した人見つけた。

たぶん双子はこの町にはいない。」


『・・・え、じゃあどうすんだよ!』

「どうするもなにも、県外に居るなら二人を探す事は無理だろ。

諦めるしかない。」

ため息まじりにそう答えれば、健二は そ、か。 と力なく呟き電話を切った。

冬樹は切ったばかりの携帯を見つめる。

「・・・。」

アドレス帳を開き、海の携帯番号を見た。


「何処にいるんだよ、海ちゃん、遥。」



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