モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語


昼休みになると、

冬樹と健二が教室まで迎えに来てくれた。

「海、いこ!」

理子に言われて鞄を持ち、立ち上がる。

屋上へと向かえば、天気が良いのに人はおらず貸切状態だった。

「お!ラッキー!」

誰もいないじゃん!と機嫌良くコンクリートの上に腰をおろした。

海も続いて戸惑いがちに座る。

「海ちゃん、はっきり聞いていい?」

「う、うん。」

冬樹に聞かれて、頷く。


「遥とはどうなったの?」


「ど、どうって・・・?」

「付き合ってるの?」

「つ、付き合ってないよ!」

「え!?」「なんでだよ!」

理子と健二は驚きの声をあげた。

「だって、双子だし・・・それに、まだ子供だから、

大人になったら、迎えに来てくれるの。」

「何よそれ~、じれったいわね。」

「あ、はは・・・。」

「ってことは、それまで筧さんはフリーなんじゃん。」

どうすんの?冬樹、と健二は彼に視線を向ける。


「せっかく諦められると思ったのになー、俺。」

はあ、と冬樹はため息をついた。

そしてすぐに笑顔を見せて、海をまっすぐ見る。


「やっぱり、海ちゃんの事あきらめないから。」

「ふ、冬樹くん!?///」

「もういっその事冬樹と付き合えば?」

理子も意地の悪い笑みを浮かべて海に言う。


「ご、ごめん!私、遥が好きだから!///」


堂々と、はっきりと言った海。

ぽかんとする3人を目の前にして、恥ずかしさを隠すように弁当を広げた。



「・・・なんか、変わったよね。海ちゃん。」

冬樹はもう一度ため息をつき、そして空を見上げた。






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