シュークリーム
翌朝、社内のエレベーターの前で村上君と会った私は、挨拶を交わしてから眉を寄せて微笑んだ。


「昨日はごめんね。なにか話があったんでしょ?」


「別に大丈夫だって言っただろ? 企画書だって、提出はまだ先なんだし」


「でも仕事の話なら、私も早く聞きたいし……。今夜辺り、食事でもどう?」


仕事を理由に村上君を誘ったけれど、心の中は落ち着かなくて気が気じゃない。


「あ、いや、悪い……。今日はちょっと……」


そんな私を余所に、彼はどこか気まずそうな表情で言葉を濁した。


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