シュークリーム
真夜中の部屋は静かで、外からは時折、風の音が聞こえて来る。


咄嗟に村上君を呼び止めたけれど、次に続く言葉が出て来ない。


それでもこの場をなんとか繋ぎたくて、とにかく口を開く。


「帰らないで……」


呟くような声で紡いだ言葉が、静けさの中に溶ける。


振り返った村上君は、どこか呆れたような表情をしている。


「はぁ……」


「話があるのっ!!」


私はため息のあとになにかを言い掛けた村上君を遮って、半分ヤケになりながら叫んでいた。


< 91 / 131 >

この作品をシェア

pagetop