さよなら、片思い【完】

彼と花火と願い事

バイトが終わりタイムカードを押して帰り仕度をしているとホールの方から賑やかな声が聞こえてきた。


あぁ、そういえば今日だっけ。


わたしは上原くんや律さんたち、いつもの仲間が閉店後に喫茶店で飲み会をするって言ってたのを思い出した。


「いやぁん！愛理、超可愛い！」


「ちょっとゆかりん！あたしにも抱っこさせてよー！！」


「可愛いのはわたしの子なんだから当たり前。あっ、唯ちゃん。お仕事お疲れ様。今帰り？」


律さんがわたしに気付いて手を振ってくれた。


「お疲れ様です。今から帰るとこです」


「唯ちゃんも飲み会参加しなよ！そろそろ哲も来る頃だろうし！」


由香里さんがわたしも誘ってくれたけど、由香里さんと上原くんが一緒にいるとこを見るのはやっぱり辛い。


「すみません。この後、用事あるので…」


「そっかぁ、残念。次は絶対参加してね。あっ！バカヤロー共！遅いぞ！」


カランカランと来客を告げるベルが鳴り、振り向くと上原くんと他の男性陣がやってきた。


「由香里、お前もう飲んでる？」


「飲んでませんー。まだまだこれからですー」


由香里さんの横に杉田くんが座って、


「唯、お疲れ様。今帰り？」


「うん、上原くんもお疲れ様。あまり飲み過ぎないようにね」


上原くんは優しく笑うとわたしの頭をポンと触って由香里さんの目の前に座った。


うわぁ、綺麗な三角関係だ。


そのうちの一人が自分の彼氏って、なんとも不思議な光景だけど。