ある人妻の過去
 「渡辺智子サン
  ですか? 」


受話器からは女性の声が聞こえて来た。


 『はい。
  渡辺ですが…』



 「少々お待ち
  くださいね~」



【は~?悪戯電話?】


私は、受話器を睨みつけたが、すぐに声が聞こえて来た。


 「渡辺智子サン?」


聞き覚えのない、男性からの呼びかけに、私は一瞬固まってしまう。


 『誰?』


私は受話器を握り直した。


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