ずっとあなたが好きでした
出会い
中学二年の頃、矢吹俊也が転校して来た。転校してすぐに俊也は野球部に入部した。

俊也は誰よりも野球が上手く、背も高く、カッコ良くて女子生徒皆の憧れだった。

俊也は一組、私は五組。私達のクラスは五クラスの中で、一番離れていたけど、俊也は目立っていたから、私は俊也の事を知っていた。

その時は皆が俊也の事で騒いでいても全く興味はなかった。

中三になって、俊也と同じクラスになった。私達は三組だった。

私のクラスには何人か可愛い子がいた。

その子達は同じグループにいた。そのグループの中に濱田里加というリーダー格の女の子がいた。

里加ちゃんは、男子の前では、良い子だったけど、陰では気に入らない子を片っ端から虐める酷い子だった。

里加ちゃんと喧嘩をしたり、里加ちゃんに相当嫌われたら、登校拒否になる位の卑劣な虐めに遭う事になる。

小学生の頃、私も恋愛問題で里加ちゃんと揉めた。里加ちゃんの好きだった男の子と仲良くしていたら、嫌らしい手紙が来た。その時はそれ位で済んだけど、本当に怒らせたら、その位では済まない。

その頃から、性格はきつく、酷い事をたくさん言われ、散々苦められてきたけど、虐められる事はなかった。

全く気が合わなかったけど、小学生の頃は学校が終わるとよく一緒に遊んだりもした。

けど、中学にあがり、里加ちゃんはかなり恐ろしくなった。

悪の根源が身体に宿っているのかと思う位、陰湿で卑劣な虐めを繰り返した。

里加ちゃんを恐れていた私は、俊也どころではなかった。

私は自分が里加ちゃんから嫌われている事を知っていたし、この受験がある大事な時期に、里加ちゃんに虐められて、不登校になったら、内申点が貰えず、希望の公立高校に入れなくなると思った。

自分の人生が里加ちゃんの虐めで無茶苦茶になったら困る。虐めに遭わない為には、里加ちゃんの目に付かない様に生活するしかない。

今年はクラスに里加ちゃんもいる。受験勉強に精を出さなきゃいけない。私は、中学時代の思い出と恋を諦めようとした。

今年は受験勉強を頑張る。高校でたくさん思い出を作ったり、恋もすれば良い。

私は、里加ちゃん始め同級生が好きではなかった。彼等と離れる為に彼等が入れない学校に行きたかった。

ただ内申点をもらう事を目的に学校に行けば良い。

俊也なんてどうでも良かった。

どうでも良いはずだった。
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