ずっとあなたが好きでした
新たな恋
季節は夏になっていた。

修学旅行から帰ってきて、相変わらず、伊藤くんとあっこはラブラブだった。

けど、二人を見て、悲しくなったり、胸が痛む事はなかった。

あれ以来、俊也とは自意識過剰かもしれないけど、よく目が合うようになった。

目が合うだけで相変わらず、話したりはしなかった。

俊也は里加ちゃん達にマークされていたし、田川くんも七海ちゃんがいたから、俊也達と里加ちゃん達はよく一緒につるんでいた。

特にこの頃、俊也を何とも思ってなかったし、俊也が他の女の子と仲良くしていてもどうでも良かった。

特に気にならなかった。

期末試験が間近に迫っていた。

心配事から吹っ切れた私は、勉強も順調に進んでいた。

最近は、変な人間関係の悩みも恋愛の悩みも全くなかった。

勉強に集中出来て、受験生としては絶好調だった。

期末試験を三日後に控えたある日、いつものように登校した。

葉子ちゃんに「おはよ」と言い、席に着こうとした時、葉子ちゃんが私に話し掛けてきた。

「昨日、矢吹くん、大変だったんだって!」

「え?何が?矢吹くんがどうしたって?」

私はぼーっとした頭できいた。

「田川くんと二人でバッテリー練習してたみたいなんだけど、矢吹くん、肩を酷く痛めちゃったんだって。最後の夏の大会も出られないかもしれないみたい。矢吹くん、今病院に行ってるんだって。」

「そうなんだぁー」

大丈夫かな…?

矢吹くん…。

3時間目が始まろうとした時、俊也が登校して来た。

何となく浮かない顔をしていた。

田川くんが、俊也に向かって言った。

「お前、肩が悪いなら、悪いって言えよ。どうなんだよ?調子は?」

田川くんは、おろおろしていた。

「あぁ。多分大丈夫だ。」

「多分?お前、マジでどうなんだよ?」

「…。」

「おい!矢吹!」

チャイムが鳴り、俊也は席に着いた。

ふと私は俊也の方を見た。

俊也と目が合った。

俊也は優しいけど、どこか悲しそうな眼差しを向けてきた。

やっぱり、良くないの?矢吹くん…。

私の周りでは、色々な事が目まぐるしくあったけど、私にとっては無事期末試験も終わり、後は受験勉強を進めて、終業式を迎えるだけだった。

委員会が終わり、下校しようとしていたら、俊也と廊下ですれ違った。



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