ずっとあなたが好きでした
自信喪失
すっきりしないまま、夏休みが始まった。

暫く数日間は、俊也に会えなくて凄く詰まらなかった。

早く出校日にならないかなとずっと思っていた。

私の心とは反対に、サンサンと照る太陽と蝉の泣き声で、外は物凄く明るかった。

自分だけが取り残されたそんな気分になった。

去年までは近所の夏祭りにも行っていたけど、今年は塾で行けそうになかった。

矢吹くんはどうしてるかな?

塾が同じなら、夏休みでも毎日会えるのに…。

そう言えば、部活には顔を出したりしてるのかな?

手術はいつするのかな?

それとなく塾であっこに聞いてみようかな?

けど、矢吹くんの話ばかりすると矢吹くんを好きな事があっこにばれるし…。

どうしよう。

どうしようもない気持ちで一杯になっていた。

毎日の塾は凄く大変だった。

受験生の夏休みとは想像を絶する位しんどかった。

いつもより授業時間は長い上に、当たり前だけど休憩は少ない。

朝から晩まで缶詰だった。

しかも限られた時間内に大量に問題を解かなきゃいけなくて、ついていくのも一苦労だった。

勉強が大嫌いな私は、途中頭が回らなくなって、意識が何度か飛んだ。

終いには、クーラーの効き過ぎた部屋の中で何時間も勉強をするから、頭が痛くなった。

これで成績が上がれば良いけど、上がらないなら本当に報われないと思った。

諦めたかった。

あんなに嫌だった学校だけど、俊也にも会えるし、学校に行ってる方がずっと良かった。

矢吹くん元気かな?

勉強をしていない時はいつも俊也の事ばかり考えていた。

俊也に会いたかった。

会いたくて仕方なかった。

人目で良いから、俊也に会いたかった。

あっこと喋っていても、ふいに俊也の事を考えたりしていた。

夏休みに入って暫くたった時、塾の休憩中に、あっこが

「昨日、おじいちゃんのお見舞いで病院に行ったら、矢吹くんに会ったよ。」

と言い出した。

「え?どこの病院?」

私は驚きを隠せなかった。

「びっくりした。香、声無茶苦茶大きいよ?どこって、市大病院だけど?」

自分でもびっくりする位大きな声を出していた。

私は今すぐにでも塾なんか飛び出して、俊也の病院に行きたかった。

授業が始まっても、俊也の事が気になって仕方なかった。

殆ど上の空だった。
< 26 / 100 >

この作品をシェア

pagetop