ずっとあなたが好きでした
それぞれの想い
二学期が始まった。

私のクラスはのんびりしているのか受験モードではなかった。

とてもじゃなく受験生のクラスとは言えなかった。

里加ちゃんも相変わらず、同じクラスの気に入らない女子や他クラスの気に入らない女子に嫌がらせをしていたし、俊也にも付き纏っていた。

俊也は何となく元気がなかった。

皆といる時は元気だけど、一人になるとボーッとしていた。

空元気だった。

結局、肩は良くならなかったのかな?

俊也に聞きたい事、俊也の事で知りたい事はたくさんあったけど、何も出来なかった。

葉子ちゃんも俊也の事を気にしていた。

「最近、矢吹くんボーッとしてない?さっきも、用があって呼んだけど、ボーッとしててさ、何回も呼んだら、ごめん、何?ボーッとしてただって。大丈夫かな?」

「確かに、何かボーッとしてるよね。何かあったのかな~」

横から、あっこが

「好きな子でも出来たんじゃない?」と言ってきた。

私はそんな事じゃない事は分かっていた。

冗談であっこに

「そうかもね!」

と言った。

その時、麻央ちゃんが口を開いた。

「私、言ったらいけないと思って黙ってたんだけど…この前、矢吹くんと先生が話してるの聞いちゃったんだ。矢吹くんね、もう高校から野球出来ないんだって!矢吹くんは野球推薦で東陵高校に行って、野球がしたかったみたいなんだ…それに矢吹くん、野球上手いから、スポーツ推薦もらえそうだったみたいなんだけど、野球が出来ないから推薦も駄目になっちゃったみたいだよ。」

「かわいそー!」

皆が一斉にそう言った。

私はボーッとしてしまった。

私は俊也が高校で、野球が出来ないのは知っていた。

けれど、まだ日も経っていないのに、いざ本当に出来ない事を推薦が駄目になった事とかで、現実を突き付けられたら、俊也は本当にショックだったと思った。

行きたかった高校の推薦ももらえなくなっちゃって、元気がなくなっても仕方ない気がした。

凄く心配だった。

俊也が一日でも早く、野球以上に打ち込める何かをみつけて、心から笑っていて欲しかった。

けど、何も出来なかった。

こんな状態の俊也よりも私の方が余裕がなかった。

どれだけ辛くて、元気がなくても、私と目が合うと俊也は笑顔を見せてくれた。

無理して笑っている俊也に、いつもいつもそっけない態度をとってしまった。

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