ずっとあなたが好きでした
一息着いた頃、バレンタインの時期になっていた。

そんな事、すっかり忘れていた。

そっかぁ…

もう、そんな時期か…

けど、私この前軽く矢吹くんに振られたしな…

そうだった…

私、矢吹くんに振られたんだった…

はぁ…

もういいや、バレンタインなんて!

私には関係ない…

今年はやめよう、高校生になってから頑張ろ…

高校生になってから、頑張れば良いんだから…

私は、高校生になったら、あげたい人にあげるチャンスはいくらでもあると思った。

だから、今はいいや…。

葉子ちゃんに言われた。

「香、最後だし、バレンタイン一緒にあげない?」

「私は良いよ。矢吹くん、私から貰っても嬉しくないだろうし…。それに最近、水原さんと仲良いしさ。」

水原さんは里加ちゃんと同じグループの細くて美人な子だった。

多少性格はきつめだったけど、虐めには加担しないし、悪い子ではなかった。

それにもし、私が矢吹くんにバレンタインあげて、里加ちゃん達にばれたら、また虐めに遭うしな…

てんびんにかけると、あげた時のリスクの方が私には重くのしかかった。

やめよ、やめよ…

バレンタインなんて本当に高校生からで良いや…

バレンタインなんてイベント初めから、なかったものだと思い込む事にした。

受験勉強の方が今は心配だし、どうでも良い。

本当にどうでも良い…。

もう考えるのやめよ…。

私には今年は縁がなかったんだ…

葉子ちゃんが私に

「恋も受験も一緒に頑張ろうよ。」

と何度も言ってくれたけど、

「ごめん。私、最近矢吹くんの事、本当何とも思わなくなっちゃった。」

私は葉子ちゃんに嘘をついてしまった。

「そうなんだぁ。」

葉子ちゃんは寂しそうだった。

バレンタインの次の日、学校に行ったら、やっぱり俊也にバレンタインあげた子は里加ちゃんと恵梨ちゃんに虐めに遭っていた。

何でばれるのか私は不思議だった。

伊藤くんに

「矢吹くんに、バレンタインあげたこと何でばれるの?」

と聞いたら、

「アイツら、濱田と新堂、矢吹家の前で張り込みしてたらしいぜ。」

「えー?張り込み?」

「すげぇよなぁー。女ってもんは!よくそこまで出来るよ!」

そんなに感情のままに行動出来ることが、私は羨ましかった。
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