パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
第1章 恋してもイイですか?



~負けない誘惑~





「…どうぞ」



綺麗な透明感のある緑色のお茶が、ほのかに甘い香りをまといながら湯呑みの中で微かに揺れる。
男性の割には綺麗で細長い指がお茶を出したあと、スッと引っ込んだ。
相手の目を見て穏やかに笑うその表情に、思わず『好意を持たれているのかも?』と、女性なら錯覚してもおかしくはないだろう。


「あ…、頂きます」


お茶を出された女性は軽く頭を下げお茶を口一杯に含んだ。


「アッツ!あ…いえ、何でもないです。あ、熱いけど大丈夫です」


慌てて言う女性の喉で、お茶はその存在感を存分に示して行く。
女性が『熱い』とアピールしている事を気付いているのかいないのか、男性はただ微笑み続けている。
『もしかして鈍い?』と女性はわざと『ゴホッ、ゴホッ』と少しむせてみせた。
それはもちろん男性に『大丈夫ですか?』と心配して欲しかった…から。


だが…
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