引っ込み思案な恋心。-2nd





…というところで。






「おい拓ー、この漫画の5巻、どこ行った?」






勉強会の終盤の方から静かに漫画を読みふけっていた倉本くんがいきなり声を上げた。






「ちょっと倉本!アンタ一体何しに来たのよ!?」






相変わらず呑気な倉本くんに対して、もちろんあゆは黙っていない。






「いちいちうるせえなあ、多田は。別に自分の勉強終わったんだから、何しようと自由だろ?」



「そういう問題じゃないでしょ?勉強会って名目で集まってんだから」



「もう終わったんだろ?おい拓、5巻は?持って帰るから貸して」






すると拓は立ち上がって、漫画の棚をあさり始めた。






「しゃーねーな。みんなそろそろ帰った方がいいんじゃね?」



「…そだね。私も早く帰って復習したいし。あゆ、一緒に帰ろうよ」






そう言って最初に片付けを始めたのは、ななっぺ。





倉本くんに色々文句を言っていたあゆも、もう諦めてななっぺに同意した。






「うん。こんなヤツと一緒にいたら、バカが伝染しそう…って、倉本の成績知らないけど」



「ははは。なんか初めて参加したけど、勉強も進んだし、楽しかったよ。ななっぺも会えて良かった。お互いテスト頑張ろうね」



「こっちこそ仲良くなれて良かったよ。これからもよろしくね、映美佳」






さっき初めて話したばかりの映美佳とななっぺも、お互いあだ名で呼び合うくらいあっという間に仲良くなっていた。






映美佳も新しく友達ができて生き生きしてるみたいだし…





勉強会に誘ってみて良かったかも。





< 20 / 270 >

この作品をシェア

pagetop