引っ込み思案な恋心。-2nd
Last☆夢への入口

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「はあ〜あ。合唱コンクール終わって完全燃焼できたと思ったら、次は学年末テストかぁ。休む暇もない〜」



「あかねちゃん…、今から理科するのに、手に持ってるの、数学の教科書だよ?」






あの合唱コンクールから1週間が過ぎた。






寒いのは相変わらずだけど、あっという間に2月中旬。






学年末テストがすぐそこまで近付いていた。






「でもさぁ、結局うちら2組が優勝したよね。やっぱり歌う順番なんて関係ないってコトじゃん」



「俺らもすげー練習したのになー」






自慢げに語るあゆと、少し悔しそうな拓。






二人も温かいお茶を飲みながら、理科の教科書をペラペラとめくっていた。






あゆの言う通り…




1番目に歌った私達2組が優勝を勝ち取ることができた。






3組は…、ななっぺ達から拓の熱血練習風景を聞いてたし、確かにサイドから聞いてて歌声はすごいと思ったんだけど、結果は準優勝。






「でも柚のアナウンス、なかなかすごかったじゃん。あんなに堂々とした声…、びっくりしちゃったよ」



「いや…、あんまり褒めないでよ、映美佳」



「やっぱり俺の彼女だからな〜」



「瀬川は関係なくない?」






私の進行アナウンスも、目立って噛んだりどもったりすることもなく、無事に終えることができた。






リハーサルの時は生徒全体の動きまではしなかったから、あの後私のアナウンス通りにゾロゾロと生徒たちが動いていく様子を見て、また感動してしまった。






私の一言だけで、こんなに大勢の人が動いてくれるなんて…






やっぱり当たり前の事なのかもしれないけど、その一つ一つの出来事が私には新鮮だった。





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