歳の差レンアイ、似た者同士。

デート日和

***

道重がケガをした。

ただの付き指。

だけどそこは心臓外科医。

心臓外科部長は激怒り。

外科医が突き指したら、ほとんど仕事にならないし。

「高校の同窓会に行ったらさー、バスケ部のみんながいるじゃん？そんで流れでバスケするじゃん？そしたら、やっちゃったんだよねー…」

気持ちはわかる。

でも、今後は球技禁止！！

道重のフォローをするのは、同期のオレしかいないじゃん！？

まぁ、道重が入る予定になってたオペに入らせてもえるから、そこはいいんだけど。

「世知辛い世の中だよなー…」

「なにしんみりしてんだよ！？部長にちょっと怒られたくらいで…」

「いや、違う違う。同窓会に行ったら、みんな立派に社会人やっててさぁ」

考えてみればオレたちも２６歳。

普通に考えれば、４年制大学を卒業してすぐに就職したら、社会人５年目になる。

「なのに、オレ達ってまだまだ半人前扱いじゃん？昔バカだった奴も今では一大プロジェクトのリーダーとかやってんだよ？悔しいなーって思った」

「まぁ…そうだなー」

６年間みっちり医学部で勉強して、そのあとの２年間は半分学生の初期研修医。

やっと辿り着いたのは半人前扱いの医者のヒヨコ。

だって、今の肩書きは“後期研修医”っていうんだから。

まだ研修期間！？

心臓外科医となると、これがあと５年くらい続く。

道のりは長い…。

サラリーマンに憧れて、下っ端生活に慣れ親しんでるオレには都合がいいけど、家庭を持ってる道重は焦りもあるのか。

「まぁ、そんなわけで、全治１週間なのでヨロシク」

「ヨロシクって…」

「今日は弁置換、明日は…」

「そんなに予定あんのか！？ってか、なんで消化器外科も！？」

「来年は外科専門医の試験受けるし、症例かせぎ？あれ、伊崎も受けないの？」

爽やかな顔して、意外とアグレッシブな道重には参る。