ちぇりぃ★〜姉と弟の恋模様〜
「もくろみ」と「わからずや」
6月最後の水曜。


いよいよ待ちに待ったオレ達《チェリー》のCD発売日。


あの日の外デート(っつーかラブホデート)した佑季は、ストレスが発散されたのかハツラツとしており、アリエルもついに迎えたこの日を素直に喜んでいて。


オレはというと、なんとも複雑、山と積まれたCDを暗雲たる思いで見つめていた。


もう女装アイドルを降りられない。


もう引き返せない。


流されるまま、とうとうこの日が来たワケだ。


「さぁ!今日は気合い入れていくわよッ!!」


柏木さんはいつもに増してパワフルで、《チェリー》のポスターを見ては鼻息を荒くする。


今日は3人とも学校を休み、新宿のCDショップでゲリラライブ、CDの手売り、終われば事務所の先輩芸能人達と交流会ならぬ、ささやかなパーティーが予定されている。


長い1日になりそうだ。


この重圧感、恭平でもいれば楽になりそうだが、付き添いで学校を欠席させるわけにもいかず、オレは《チェリー専用》の控え室でムダにサインの練習をしていた。
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