おしえてください、先生。

頭の中でごちゃごちゃと考えていると、何かが私の頬に触れる。

驚いて目を開ければ、それは先生の手だった。



「ゆーご、せん、せい……?」



不思議と、怖くはなかった。

男の人に触れられるだけで恐怖でいっぱいになっていた頭の中は、熱に侵されたように何も考えられない。

伏せていた顔を、ゆっくりと上げる。

雄悟先生の真剣なまなざしと目が合って、ドキドキするだけじゃなく体中が沸騰するように熱くなった。

そんな私を知ってか知らずか、ただでさえ近い雄悟先生の顔が近づいてくる。



うそ、なに、これ……。



思わず再びギュッと目をつぶると、頬に柔らかい何かが触れ、離れていく。



今のって……頬に、キスされた……?



目を開けると、先生と視線が交わる。目が、そらせない。

先に目をそらしたのは、雄悟先生だった。



「わ、悪い……。今日はもう帰るわ。続きはまた明日な……」

「う、うん……」



返事をすると、雄悟先生は慌てたように荷物をまとめて帰って行った。



え、ちょ、ちょっと待って……?

今、何が起こったの……?
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