恋人ごっこ


 あの後、あたしはフラフラしながら家に帰った。

 いつもなら文哉と帰るけど、文哉を待っていたら同じ部活の夏樹先輩にも会ってしまう・・・。



 結局あまり眠れないまま朝を迎えた。







 「おい、何シカトこいてんだよ」


 家を出た瞬間驚いた。
 いつもいるはずのない文哉が門の前で待ち構えていたからだ。



 「文哉・・・めずらしーじゃん」



 急に愛しい人の顔を見て緩みそうになった涙腺を引き締めた。
 文哉を困らせたくない・・・。



 「お前、昨日勝手に帰ったろ。メールしとけよ」


 「ごめん・・・ちょっと気分悪くてさ」


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