期間限定、恋人ごっこ
水曜、お昼を一緒に

忘れてた。
井口という男は、やるときは何でも完璧にやらないと済まない奴だった。
そんなところも好きになる理由の一つだったんけど……今となっては微妙。

「ん? 食べないのか?」

菓子パンの袋を音を立てて開き、井口は顎で私の弁当を指した。
ゆっくりとお弁当箱を開きながら、横目で周りを確認する。

「そんなに警戒しなくても」
「うん……」
「誰も盗らないけど?」

違う。

こんなに堂々と、教室でふたりでご飯なんて!
クラスメイトだって、からかうにからかえずに、こっちをちらちら見て様子を伺ってる。

付き合ってるってばらしたあげくに、この状況。恥ずかしいやら…あとは言葉にしづらいもやもやした気持ちで、居心地が悪い。
まるで、ほんとに……ほんとに恋人同士みたい。

ブロッコリーをひとつ口に入れて井口を見ると、すでに2個目の菓子パン。



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