Dear my Dr.

転機

今日も、伊崎総合病院にいた。

お兄ちゃんの命令通り、となると不服だけれど…

悠ちゃんが心配するから、と言いかえれば“仕方ないなあ”ってなる。

「茅島さーん、茅島美波さんどうぞ」

そういえば、もうすぐ結婚記念日。

初めは違和感のあった“茅島”の名前にも慣れたなぁ。

そんなことを考えながら、診察室のドアを開けた。

「こんにちは」

目に飛び込んできたのは…

「…え!?鳴海さん!?」

「……あら?」

アメリカで会った、悠ちゃんの同期。

そして浩哉くんの彼女さんである、鳴海さんがいたんだ。

鳴海さんは初め気付いていなかった様子で、私が声をかけてから目を丸くした。

「アメリカにいらっしゃったんじゃないんですか!?」

「4月から帰ってきたの。やっぱり、日本人だもの、日本で医療をしたいって思ってきたから。それにしても、すごい偶然ね?」

「ここ、私の実家の病院なんです」

「そうだったの!?院長先生って、じゃあお父様!?」

「そうなりますねぇ」

今日はキレイな黒髪は後ろでアップにしていて、細身のドクターコートがよく似合う。

やっぱ美人さんだ。

「今日はどうされました?」

「持病に喘息があって…」

「そう、最近発作は出てるの?」

「ここ1週間くらい朝に少しだけ」

「自然に治まってる感じ?」

「気付くと治ってます」

色んな質問をされながら、私も逆に質問してみたかった。

“浩哉くんとはどうなんですか?”

お節介だとは思うけど…。


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