Dear my Dr.

夏風邪

「なんか寒くない?」

「そうか?クーラーの温度設定、上げてもいいよ」

今年の夏も猛暑。

クーラーはガンガン。

部屋の中と外との温度差が激しい。

そのせいかな?

ちょっとカゼっぽいかも。

なんだか、身体がだるい。

夏風邪はバカがひくっていうから、あんまり認めたくないけど。

騙し騙しで3日経つ。

食欲もなくなってきた。

だけど、早く治さなきゃ、再来週にはアメリカに発つんだから…。







朝、もう起きなきゃいけない時間なのに、体が動かない。

そういえば、悠ちゃんは先に起きたみたいで、すでにいない。

妻失格だ…。

のろのろとリビングに行くと、悠ちゃんはもう家を出るところだった。

「寝てていいよ」

「でも…」

「やっぱり風邪か?ちょっと熱ありそうだし」

悠ちゃんの大きな手が、私の額に触れた。

ちょっとヒンヤリして心地いい。

「大人しく寝てなさい」

そう諭されて、ベッドルームに帰されてしまう。

「行けそうなら病院に行って…」

「ぜったいヤダ!」

「病院の娘のくせに、なんでこう病院嫌いなの?」

悠ちゃんは苦笑いしながら玄関を出て行った。
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