龍とわたしと裏庭で【おまけの圭吾編】
第六話 優しい嘘
従弟の悟が電話をよこした。

――今日、しづ姫が他校の男子から手紙付きで告白された

「まあ、そういう事もあるだろう」

――おっ、余裕だね。だけど僕が忠告しておきたいのはね



悟が言うには、

志鶴はその場で『好きな人がいるから』と断ったらしい。

ただ、手紙だけでも読んでほしいと言われて受け取ってしまったのだ。

志鶴の性格上、読まずに捨てる事は有り得ない。

ひょっとしたら読んでも捨てられないかもしれない。

だから、志鶴の態度がおかしくても追及するな。

手紙を見つけても気付かなかったふりをしろ。



――圭吾には絶対言わないでくれって口止めされたんだけどね

「それなのにわざわざ電話してまでご注進か?」

――時には優しい嘘も必要なんだよ。お姫様を泣かすなよ



「優しい嘘か……」

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