秘密の片思い 番外編②
スペイン編
郁斗はリビングのソファーに寝そべりながらサッカー雑誌を読んでいた。



ふとキッチンの方から聞こえてくるハミング。



そしてチキンのトマト煮こみの良い香りが郁斗の鼻腔をくすぐる。



そう言えば、腹が減ったな。



今日は練習の後、ビールを飲みに行くチームメイトの誘いを断って帰ってきたのだ。



スペインの夕食は遅い。



日本人の俺たちには馴染めなく、愛は遅くとも8時までには食べられるように作ってくれる。



愛曰(いわ)く、そんなに遅くに食べたらあっという間に太ってしまうから嫌だそうだ。



「郁斗みたいに毎日運動しているわけじゃないんだから」



「……毎日とは言わなくてもほぼ、毎晩運動しているだろ?」



つい言ってしまうと愛が真っ赤になる。



「い、郁斗っ!」



「それに朝にも運動する時がある」



「ばかーっ!やめてよっ!そんな事言うのっ」



そう言って愛を怒らせてしまった時もあったなと思いだし笑いが出る。



< 1 / 17 >

この作品をシェア

pagetop