同窓会
先輩の言葉で思い出す。

琴美先輩と出会ったのは、短大の1回生だった時で、初恋に100%未練を感じていた時だった。

シャイで奥手で、ただ見てるだけしか出来なかった自分が悔しくて堪らなかった。

"逃した魚は大きいって思わせる女に将来なれれば、それも無駄じゃない"

友達の入っていたダンス部の部長だった琴美先輩に、出会った翌日言われたんだ。

「にしても、大化けしたのよね。」

琴美先輩はなつかしそうに話す。

私は思わず苦笑してしまう。

「化粧っ気が全然なくて、着る洋服だって機能性と着心地重視でしょ。」

「髪もただ伸ばしっぱなし、みたいな。」

あの頃の私を思い出して、私も返す。

「あれはあれで、純情な女の子で良かったんだけどね。」

先輩の教えはこうだった。

"女は着飾るだけで、もう一度生まれ変わったみたいになれるのよ"
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