人こそ美味 part2

俺の楽しみ


「ごちそうさまでした」

最後までとっておいた大きな肉をステーキにして、今食べ終えたところ。

肉汁が付着した白い皿に手を合わせる。

親父が死んで5年が経つ。

あの日、親父が死んだ日。

親父の最期の言葉は日本中に恐怖をもたらした。

親父の死後、発覚した罪。

マスコミもメディアも大騒ぎで、テレビに親父の写真とこの家が公開された。

おかげで近所では悪い意味で有名になってしまった。

風の音が大きく聞こえる気がする。

それは近所の住人が居なくなり、俺の家が孤立してしまったから。

でもそれは俺にとって好都合。

俺の“禁断”を守る事が出来る。

今夜のステーキで家にあった肉は全てなくなってしまった。

今度はいつ肉を仕入れられるだろうか…。

今のところ連絡は来てないが、仕入れられれば一ヶ月は味わえるだろう。




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