御曹司の溺愛エスコート
こげ茶のサングラスをかけた圧倒的な存在感の男性を、行き交う人々が振り返りながらも見ている。


桜はどうしても目が行ってしまうその男性から、やっとのことで目をそらした。


これから会う蒼真兄さまを思い出してしまった。


桜の頭の中は、シカゴを出る前からずっと蒼真のことを考え続けていた。


大好きだった人……。
昔は優しく笑って自分を見守ってくれた人。


涙が出そうになってうつむくと、ぴかぴかの革靴が目に入った。


「桜」


低音のなめらかで、心地よい声で名前を呼ばれた。



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