書斎でパソコンを前に仕事をしている蒼真の携帯電話が鳴った。
真琴がキーボードを打つ手を止めて蒼真を見る。


着信が誰なのか知り、蒼真はうんざりした顔になった。


「なんですか? 母さん」

『いつになったら戻ってくるのかしら?』

「まだ忙しいんです」

『婚約破棄の理由も私たちに説明もないままいなくなって……』

「そのうちゆっくり話に行きますよ」

『きのう琴美と話したそうね? イギリスからお客様もいらしてるの。いつ頃帰って来られるの?』

「琴美には、あと一週間ほどと言ってあります」

『素敵なお嬢さんだから貴方も気に入ってよ?』


ようは琴美の連れてきた彼女と会えと言う事なのだ。
蒼真が桜と結婚を考えていると知れば気も狂わんばかりに反対するに違いない。


桜の気持ちが3年前のように戻るまで面倒な問題は避けたい。