御曹司の溺愛エスコート
桜は3日間熱が高く、起き上がることが出来なかった。
自分が誰だか分らず、ベッドから出られない桜は戸惑っていた。


目が覚めるといつもいるのは婚約者だと言った男性。
心細げに見上げる自分に、彼は優しく微笑んでくれるのだ。


「何も心配はいらないよ」と。


自分がなぜ病院にいるのかも分らない。
考えると頭痛が酷くなる。


秘書だと言う女性も自分の事を桜様と呼び心配そうな顔をする。


私は誰?


4日目の朝、熱は微熱になり皆を安堵させた。
ずっと寝ていたせいでぼんやりとした表情だが、与える重湯を口にした。


あまり美味しくないらしく顔をしかめている。
仕草は以前の桜と変わらない。
それどころか15歳の時のようだと思ってしまう。


蒼真にだいぶ慣れてきて、屈託なくにこっと笑う桜はまぎれもなく弟が死ぬ前の彼女だった。


天真爛漫で愛らしい桜。


蒼真を呼ぶのも変わった。
あれほど呼べなかった蒼真の事を「蒼真」とすんなり呼ぶのだ。



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