ホテルの部屋でやる事ない桜はベッドの上に横になっているうちに眠ってしまった。


ドアを叩く音に目を覚まし、驚いて慌てて開けに行く。


アメリカだったら考えられない事だ。


日本に帰って来た気の緩みで誰かを確かめずにドアを開けていた。


「蒼真……兄さま……」


あんぐりと口を開けて、目の前の背の高い蒼真を見る。


「どうして……?」

「せまい部屋だな」


ぼんやりしているうちに蒼真がつかつかと中へ入って来た。


部屋に入り桜の手首を掴むと備え付けの電話に向かう。


「403号室だが、部屋をスイートルームに変えて欲しい」


え……?


しっかり蒼真の手に捕まって身動きできない。


「どうして? 私はここでいい!」


蒼真の手を振り切ろうと、桜は身をよじる。


「大人しくしてくれ、腕の骨が折れるぞ?」

「じゃあ、離してください……きゃっ!」


離すどころか強く引っ張られて、桜は蒼真の腕の中で抱きしめられていた。