Love&Cocktail
「いや〜…やっぱり凄いな、佐倉さんは」
杣沢さんが力が抜けたように言った。
「は、はい…。そうですね!あたし初めて佐倉さんにお会いしました」
あたしは佐倉さんが飲み干したグラスを片付ける。
「俺は少し前に一度だけ会ったことがあったから…それで顔は分かってたんだけどな」
「そうなんですか…。あの…なんで佐倉さんは……わざわざあたしのカクテルを飲みに来たんでしょうか…。」
あたしはどうしても気になってしまった。
“腕前を見せてもらおうと思った”
だけが理由だとは、あたしは思えない。
あんなに凄いバーテンダーさんがパーティー前日にあたしのカクテルを飲みに来るなんて。
すると杣沢さんはフッと微笑んだ。
「乃愛に対してライバル心が湧いてるんじゃないか?」
「佐倉さんもそれっぽいこと言ってましたけど…よく意味が分かりません。あんなに凄い方が、あたしなんかをライバルとして見るなんて……」
あたしはカチャン、とグラスを置いた。
やっぱり佐倉さんは何考えてるのか分からない…。