Love&Cocktail
ブラック・ローズ

「――乃愛、ちょっといい?」




「はい?」




あたしはグラスを拭く手を止めた。




杣沢さんがあたしに声を掛けてきたんだ。




「乃愛にお客さんが来てるんだけど…」




「お客さん?」




いったい誰だろ…。




あたしは首をかしげた。




「なんか乃愛の古い友人だって行ってたよ。とにかく行って差し上げて」




杣沢さんは“ほらほら”と言って、あたしの背中を押す。




古い友人…?
高校の同級生とかかなぁ…。




あたしは作業を中断し、バーを出た。




入り口にいた人を見て、あたしは開いた口が塞がらなかった。




「と、斗真…」




そこにいたのは…




半年前に別れた元カレだった…。



< 58 / 336 >

この作品をシェア

pagetop