戦場のガールズライフ~派遣社員奮闘編~
‡揺れる30女

その5。

3月は年度末ということもあり、一年間の実績を確定する大事な時期でもあった。そして、来年の目標を決めなくてはならない。


「三島さんがいなくなると、プレスのことをわかってくれる人がいなくなるから来年から厳しくなるなぁ」


そう言ってくれたのは第1プレス課の課長だった。課長にしては若く、なかなかのやんちゃぶりが部下から慕われている。しかも俳優の真田ナントカって人に似ていてカッコイイ。以前、飲み屋でカラオケを歌った時に何故か手を握られてドキッとしたことがある。ま、私は不倫なんてしませんけどね。


「気軽に教えてとか言えないから困るよね。三島さんだから話せてたことあるのにな~」


続けて笑いながらそう言ったのは、定年をしてSPとして働いている山杉さんだ。この人はかなり辛口ですぐに文句を言いたがる。だけど、それに根性で食らいついて仕事をしたこと私のことを認めてくれた数少ない味方でもある。一度、飲み会で「もっと三島さんに感謝しなきゃいかんだぞ」と若手に説教をしている姿を見た時は泣き笑いしてしまった。


私はこういう人たちが好きで、こういう人たちと仕事をしてきた。好きな人たちの為に仕事をして、嫌いな人たちに負けない為に強くなる。私は人の出会いには恵まれている方だと思う。


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