甘きゅん【完】
「じゃあ、まずは…。
背中でも流してもらおうかな?」
「…っ!?
―――はぃぃぃい!?」
迷子になっちゃうくらい広いお屋敷の一室で。
大声をあげてのけぞったメイド姿のあたしに、同じクラスの九条くんは、あたしの大声にびっくりしたとでもいうように、ひとさし指で耳を塞ぐしぐさをしてから、
「どうしてそんなに驚くの?」
首を横に傾けて、
「お仕事でしょ?」
メガネと制服のネクタイをするりとはずした。