甘きゅん【完】



小雪ちらつく公園。


目の前にある、綺麗に整った顔が、


「雪奈…」


あたしの名前を呼ぶと同時に切なそうに歪み、


「――俺と一緒に逃げよう」


冷え切って、冷たくなったあたしの頬に、じわりと温かい手を添えた。


その温かさに、ふわり―…と、心が解ける。


「でも――…」


嬉しいはずのその言葉は――…


「もう遅いよ…」


あたしの中で涙に変わった。
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