恋する事件簿【完】
第1部 ⑦〜失敗〜



翌日、雨雲に支配された空の下を出勤した。

母親が「嫌な天気」と言って、父親とくっついてる。



「おはよう」



「あ、おはよーう」



もう見慣れた光景。

両親も離れようなんてしない。

椅子に座り、一服してると、ゴロゴロ…ッと、光りながら、雷が鳴った。

小さい頃は、“鬼に臍(へそ)が取られる”と、じいちゃんに脅されて、お腹を必死に隠したっけ。

そんな事を考えると、みんなも揃った。

朝礼と同時に、摘発の会議が始まる。

今日の責任者は、坂田と由良さんらしい。

私は回されて来た資料に目をやった。
< 71 / 336 >

この作品をシェア

pagetop