天使のキス。
小さくため息をついて、流れ行く窓の外の景色を眺め、


ポツポツ降りだした雨に、あたしは大きなため息をついた。


これから、あたし達、どうなっていくのかな。


今まで良好だった関係がこれから大きく動き出し、変わろうとしている予感に身体が震えた。


今まで何事もなく、平和だった過去にはもう戻れない。


それは、絡まりあう糸にも似ていて。


解こうと懸命にがんばっているのに、解けることはなく。


それどころか、余計に絡まっていくようで――…。


そこで、解くのを諦めて。


絡まりあう糸を、捨ててしまうことにならなければいいと…


あたしは唇をかみ締めた。

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