若恋【完】
内緒の受診


「りお、どこへ行くつもりなんだ?」


ソファーに座って朝刊を広げていた奏さんが顔もあげずに聞いてきた。

ドキッ

「え、と、夕御飯の材料でも買いに行こうかなって思って。えと…ダメ?」


龍神会との決着がついた今はそんなにわたしの身は危なくないし。

人通りの多い昼間で、買い物をするくらいなら外出させてくれるだろうな。

そう言って外出させてももらえないようなら産婦人科への受診はできそうにないや。



「買い物なら毅にでも頼んだらいい。あいつの料理の腕は確かだぞ。食材選びも頼んだらいい」

あのね、そうじゃなくてね。

「下着も新しいの欲しいなぁって思ってね」

「じゃ、俺が車を出してやる」

わあ、ダメダメ!

「え?、あのね。わたしひとりでゆっくり下着を選ぶから…って、ちゃんとわたしの話聞いてる?」


だめだこりゃ。

わたしが外へひとりで出かけるのは許してもらえないのかも。




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