若恋【完】
パーティー裏の刺客

「―――きれいだ」


老舗の呉服屋を呼びつけて奏さんがわたしに振り袖を誂えてくれたものを着ている。


「…誰にも見せたくねぇな」

薄い卵色の綸子地。
若いわたしに似合うだろうと四季の花が描かれていて金糸銀糸で所々刺繍も施されてる。

帯もパーティー用に華やかな柄のものをつけている。


「誰にも見せたくねぇ」


大神物産の関係者が集まるという大規模なクリスマスパーティにこれから出席で、行きたくなさそうな奏さんがわたしを見てため息をついてる。



「奏さん、そろそろ毅さんが迎えにくるよ」

「わかってる。りお、帯はきつくねぇか?」

「大丈夫、加減してくれてるから。それにご挨拶だけしたら後は控え室の方で休ませてもらうから」


「…そうか」

奏さんが小さく笑みをこぼした。


「無理はするなよ」

「うん」


いつもはポニーテールを結ってる髪も今日は特別にあげてて化粧もホテルの美容院のひとがしてくれた。




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