危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜
お近づきになる?
「ごめん」


え?

今、涼君が“ごめん”って言ったように聞こえたのは、私の気のせいかなと思ったけど、そうでもなかったみたい。


だって、涼君は私の手を放し、私の上から退くと「これ使って」と言ってフワフワの白いタオルを貸してくれたから。


眼鏡を外してタオルを目に当てたら、間もなくして涙は止まった。


ティッシュで眼鏡を拭き、それを掛けて涼君を見たら、涼君は悪戯を咎められた悪戯っ子のような感じで視線を落とした。


「もう、しないで」


「え?」


私が言うと、涼君は驚いた声を出して顔を上げた。


私の言葉が聞き取れなかったのかと思い、


「今みたいな事は二度としないで」


と私は繰り返した。


「あんた、俺にあんな事されたのに、家庭教師を続ける気かよ?」


< 36 / 191 >

この作品をシェア

pagetop