Addict -中毒-

茶色い小瓶







**茶色い小瓶**













いつから私はその茶色の小瓶に目を向けなくなったのだろう。


あの月下美人が浮かんだ焼酎の入った瓶を。


『結婚してください』


蒼介のプロポーズの言葉が、月下美人の花びらのように私の脳に浮かぶ。








―――約束の金曜日



とうとうこの日が来てしまった。


私はクローゼットから、たくさんの洋服を出し、ベッドに並べてはそれらを眺めている。


どれぐらいそうしていただろう。


マダム・バタフライに出勤する前に、萌羽がうちに立ち寄った。


「月香姉さん、どうしたの、この服!」


服やバッグで散らかった寝室を見て、萌羽が驚いたように目を丸めた。


「助かったわ、萌羽。あんたに助けて欲しいの。それがねぇ…」


私は先週の彼との出来事を





今度は包み隠さず、洗いざらい彼女に話し聞かせた。





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