朝が待てなくて

笑顔の中身


駐車場に着き、樹のトラックのドアによじ登って中をのぞいたけれど、彼はいなかった。


ときどきシートを倒して寝ながら待ってくれてたりするからね。


ここにいないとなると事務所だ。




ガラス張りの戸口に近づき中をうかがおうとしたら、先に戸が開いて誰かが出てきた。


「あ、祐二さん」


「おー。樹なら打ち合わせ中だよ。中で待っときな」


親しげな笑顔を振りまいて、祐二さんはトラックの方へと向かった。


祐二さんも今から走るのかな?




長距離トラックの仕事は夜通し走ることなんて普通だ。夜間の方が道がすいてるからね。


事務所の人とももう顔見知りになっているから、中で待たせてもらってもいいんだろうけど、やっぱ邪魔しちゃ悪いから外で待つ。




着いたよ、って樹にメールだけしておこうっと。


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