朝が待てなくて

不等号の向き


ビーチバレーをしたり泳いだり、太陽が真上にのぼるまで、わたしたちはいっぱい遊んだ。


「腹へったぁ」


誰かが言いだして、お昼ご飯となる。




いったんシートに戻ると、樹は頭からタオルをかぶって寝ていた。


「樹もご飯食べに行く?」


声をかけたけど、ビクともしない。


そっとタオルをめくってみると、彼はスースーと寝息を立てて眠っている。




「じゃあ何か買ってくるね」


タオルを直しながら、樹の髪をそっと触った。






みんなで海の家に行って、
ミャンマーとシオのカップル成立おめでとう会をする。


冷やかされて照れる二人は、すごく幸せそうで、こっちまでにやけてくる。




「俺の勝ちだ」


小声でボソッと大淀が言った。


「何が?」


「賭けだよ。シオたち一学期にくっつくって言ったの俺じゃん?」


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