朝が待てなくて

想いを重ねて…


樹と二人っきりになった部屋の中。


外を走る車の音だけが聞こえる。


樹は体を起こしてその場に座ったまま、しばらく動かなかった。




あらためて見渡すと、初めて入った樹の部屋は狭くて薄暗くて、テレビもなんにもない殺風景なワンルームだった。


あるのは作りつけのベッドと小さなサイドテーブルだけ。


窓とベッドに挟まれるように置かれたその小さなテーブルの上には、さっき樹がぶら下げていたコンビニの袋が無造作に置かれてあった。


お弁当は袋に入ったままだけど、その横にある缶ビールは、2缶ともプルトップが開けられている。


わたしはそのテーブルの脇、窓とベッドの隙間にペタンと座って、樹の気配をうかがっていた。


窓の外は隣のビルの壁が間際まで迫っているのに、どこから漏れてくるのか、ピンクや紫のネオンがほのかに映って、ちょっとキレイ……。


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