僕のスケープゴート
洞穴
山の…。そこには洞穴がある。




恐ろしい声がした。




こだまは村まで響き渡っていた。人はそれを恐れ、生け贄を差し出す。




流行り病は村を蝕み、勝手に山神と呼ばれ…。



生け贄を持ってくる村人…。私はここで静かにしていたいだけなのに。






私は人にして人にあらず、人から嫌われた身。ある時は化物と呼ばれ、石を投げつけられた。




幼い時に目を悪くした。目は開かずくっついている。母は火傷だと言う。母は亡くなり、人に追われ、山に逃げた。



この洞穴に…。祠は私の居場所だった。





私は…。いつしか寂しさと苦しみで暗い祠をのたうち回る。
そして…。気づいた…。
私は化物だと。




苦しんだ声は恐ろしい程に響いていた。






また生け贄を…。どうせなら食べ物にしてほしい。





疲れた…。






このまま死んだ方がましか…。




影が入口に…。どうせ逃げる。放っておこう。



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